病院を出て、街へ|地域パートナーの会と銭湯で取り組む健康支援

荒川区の地域で歩行測定と健康相談を行う専門職のイメージ

株式会社あしすとの仕事は、事業所や利用者さんのご自宅だけで完結するものではありません。

まだ介護サービスを利用していない方、地域の活動を続けている方、銭湯で顔なじみと会話を楽しむ方。そうした地域で暮らす人たちの身近な場所へ専門職が出向き、元気なうちから健康づくりを支えることも、私たちが大切にしている役割です。

今回は、あしすとの専門職が荒川リハネットの活動を通じて関わる「地域パートナーの会の効果測定」と、荒川区らしい地域資源である銭湯を活用した健康支援について紹介します。

支援が必要になってからではなく、元気なうちに地域で出会う

高齢者の健康は、筋力や歩行能力だけで決まるものではありません。外へ出る機会があること、話せる相手がいること、自分の役割や楽しみを持てることも大切です。

一方で、地域で元気に暮らしている方ほど、医療・介護の専門職と接する機会が少ないことがあります。「少し歩きにくくなった」「外出が減った」「転びそうで不安」と感じていても、相談するほどではないと考え、そのままにしてしまうこともあります。

だからこそ私たちは、専門職が待つのではなく、地域の集まりや日常の場所へ出向く活動に取り組んでいます。

地域パートナーの会の効果測定|活動の価値を“見える化”する

荒川区内には、住民の皆さんが主体となって運営する体操や交流の場があります。東京都立大学、荒川区、荒川リハネットが連携する取り組みでは、理学療法士・作業療法士などが区内約30か所の活動場所を訪問し、体力や外出状況を確認しています。

主に用いるのは、椅子から立ち上がり、3メートル先を往復して再び座るまでの時間を測るTUG(歩く力のテスト)と、生活の中でどのくらい広い範囲へ外出しているかを確認するLSA(生活空間・外出の指標)です。

1.訪問する
専門職が地域の活動場所へ出向きます。
2.測る
TUGやLSA、参加者の声を確認します。
3.見える化する
個人とグループの特徴を整理します。
4.結果を返す
わかりやすい言葉で説明し、次の活動へつなげます。

測定の目的は、できる・できないを判定することではありません。歩く力は保たれているのに外出が少ない方、外出は多いものの足腰のケアが必要な方など、一人ひとりに合った次の一歩を考えるためです。

数字と参加者の声から、地域活動の意味を考える

効果測定では、身体機能だけでなく、活動に参加して感じた変化も伺います。実際の報告では、次のような結果が確認されています。

ミドル倶楽部

参加者15名、平均年齢81.8歳。通常歩行のTUG平均は9.42秒、LSA平均は100.0点でした。参加してよかったことでは、60%の方が「話せる人が増えた」と回答しています。

元気クラブ

参加者11名、平均年齢83.5歳。通常歩行のTUG平均は11.86秒、LSA平均は70.1点でした。「話せる人が増えた」と回答した方は91%でした。

これらは一度の測定結果であり、活動参加の効果を数字だけで断定するものではありません。しかし、継続して測ることで、歩く力や外出範囲の変化を確認できます。また、「話せる人が増えた」という声から、地域の集まりが運動だけでなく、人とのつながりや外出のきっかけになっていることも見えてきます。

測って終わりではなく、結果を住民の皆さんへ返し、「これからも続けたい」「次はこんなことをしてみたい」という自信につなげる。それが、あしすとが考える効果測定です。

銭湯健康支援員のアドバイス|暮らしの場所だから気づけること

荒川区には、今も地域の人が集まる銭湯があります。銭湯は体を温める場所であるだけでなく、顔なじみと会話を交わし、互いの変化に気づける地域の居場所です。

荒川リハネットでは、この下町らしい地域資源を活かし、銭湯での見守り、健康相談、体力チェックにも取り組んでいます。銭湯で健康支援員や専門職が行うアドバイスは、病気を診断することではありません。

  • 立ち上がりや歩き方を確認し、転倒予防の工夫を伝える
  • 腰・膝・肩などの身近な悩みを聞き、無理のない体操を一緒に考える
  • 入浴前後の体調変化やふらつきについて、日常で注意したい点を共有する
  • 外出が減った、最近元気がないなどの変化に気づき、必要な相談先へつなぐ

「相談窓口へ行くほどではない」と思っている方とも、普段の暮らしの延長で話せます。短い会話の中から小さな変化を見つけ、深刻になる前の相談につなげられることが、銭湯で行う健康支援の良さです。

専門職の知識を、地域で使える言葉に変える

地域活動では、専門用語を並べるだけでは支援になりません。測定結果を「去年より歩く余力がありますね」「足腰は元気なので、外出の機会が増えるとよさそうです」と、生活に結びつく言葉へ変える力が必要です。

理学療法士や作業療法士は身体機能と生活動作を見ます。看護師は体調面から話を聞きます。介護職やケアマネジャーは、その方の生活背景や利用できる地域資源を考えます。それぞれの視点を重ねることで、単なる運動指導ではない支援ができます。

施設の外へ出ると、地域の皆さんから教えてもらうこともたくさんあります。専門職が一方的に教えるのではなく、住民と一緒に活動を育てていく。その経験は、日々のデイサービス、訪問看護、訪問リハビリ、ケアマネジメントにも生かされています。

地域の未来を、一緒につくる仕事

あしすとが目指しているのは、支援が必要になった方へサービスを届けるだけの会社ではありません。元気な方も、少し不安が出てきた方も、支援を受けている方も、住み慣れた荒川区で役割やつながりを持ち続けられる地域をつくりたいと考えています。

地域の活動へ出向いてみたい。専門職として測定やアドバイスに関わりたい。事業所の中だけでなく、街の健康づくりにも力を生かしたい。そんな思いを持つ方にとって、あしすとは新しい取り組みを一緒に形にできる職場です。

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※掲載画像は、地域での体力測定と銭湯を活用した健康支援を表現したイメージです。掲載している数値は、地域パートナーの会の測定報告に基づく各グループの結果であり、すべての参加者に同じ変化を示すものではありません。

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